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東京地方裁判所 昭和50年(借チ)18号 決定 1976年3月11日

申立人

東光ゴム株式会社

右代表者

山崎四郎

右代理人

瀬戸丸英好

相手方

石井太右衛門こと

石井好三郎

主文

一  申立人と相手方との間の別紙目録記載(一)の土地に関する賃貸借契約の目的を堅固建物の所有に、期間を本裁判確定の日から三〇年に、資料を本裁判確定の月の翌月以降月額一万七一五四円に、それぞれ変更する。

二  申立人は相手方に対し金三七四万五九五〇円の支払いをせよ。

理由

一本件申立の要旨

申立人は、相手方から別紙目録記載(一)の土地(以下、本件土地という)を期間の定めなく、非堅固建物所有の目的で賃借し、右土地上に同目録記載(二)の建物(以下、本件建物という)を所有しているが、右賃貸借の残存期間は昭和五三年ころであり、また現賃料は月額五七〇〇円である。

ところで、申立人は、相手方から昭和二三年ころに本件土地を賃借した坂部八衛の借地権を承継したものであり、右借地権の設定当時は付近には木造建物しかなかつたが、現在では準防火地域、容積率三〇〇パーセントの指定を受けていてビルも数多く見られ、現に借地権を設定するにおいては堅固建物の所有を目的とするのを相当とするに至つている。

申立人は、本件建物を取毀したうえ本件土地に堅固建物を建築すべく計画中であるが、賃貸借の目的を堅固建物の所有に変更するについて相手方との協議ができない。

よつて、本件土地賃貸借の目的を堅固建物の所有に変更する旨の裁判を求める。

二当裁判所の判断

(一)  本件申立の当否

本件資料によれば、本件申立の要旨記載の事実が認められ、他に本件申立を排斥すべき事情も認められないからこれを認容すべきものと考える。

(二)  附随処分

本件借地条件変更については、当事者間の利益の衡平をはかるため申立人に財産上の給付を命じるのが相当である。その給付額について、鑑定委員会は本件土地の更地価格の一割に相当する金三七四万五九五〇円をもつて相当とする旨の意見書を提出するが、当裁判所も諸般の事情を考慮して右金額をもつて妥当と認める。

さらに、本件土地の借地期間を本裁判確定の日から三〇年に変更し、賃料についても、本裁判確定の月の翌月以降、鑑定委員会の意見による月額一万一五四円に改めることとする。

よつて、主文のとおり決定する。

(鷺岡康雄)

別紙目録<省略>

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